自家製粉石臼挽き生粉手打そば処　『蕎麦工房　膳』
以前から京都の蕎麦屋の中で一番訪ねたかった店。
自宅を改造したそのお店は京都の中心部から少し南に下った伏見区の入り組んだ場所にあり、玄関脇に打ち場があるので早い時間に行けば主人の仕事ぶりが見られるかもしれない。
シンプルな内装と清潔感溢れる店内にはカウンターと大きなテーブルが置かれている。カウンターに陣取れば、主人の蕎麦を作る作業のすべてが見える。
最初にもりそばを注文する。ここはつなぎを一切使わない十割蕎麦でこの日は福井県丸岡産の丸岡在来種の玄そばとＨＰで確認済み。
もりそばは 細かい目と粗い目の２種類に製粉して半人前づつで１セットとして供される。 好みで１種類を１人前でもいいそうだ。
最初に甘皮が細かく挽きぐるみしたものが出されたが、二八の様なノド越しで、いい具合の硬さと腰の強さが合いまっている感じ。２枚目の粗く挽かれた粉で打ち上げた蕎麦はモチッとした歯応えで、蕎麦そのモノの味が濃く感じられる。

同じモノをお替わりするよりも、今度は趣向を変えて、おろしそばをぶっかけで注文。
冷蔵庫から主人が鰹節を取り出して削り始める。奥さんがタッパーに入れてある葱を取り出して準備。おろした大根は別の器に入っている。　釜に麺を入れるタイミングは、湯気を吸い込むフードの内側に貼ってある時計を見ながら計っていた。茹で上げ、水洗い、水切り、盛り付けもご主人の一連の所作が美しく、何かの舞台を見ている様で楽しい。蕎麦湯は　最近流行のポタージュタイプではなく別の鍋で作られている。
ＨＰでは、その日の玄そば情報も書かれているので、好みに合わせて訪ねるのもいいかも知れない。