奈良方面に出掛けたついでに、生駒市の住宅街にある「本格手打そば　吟」に行って来た。ここは、関東出身のご主人が７年前に脱サラし、独学で腕を磨き開業した店。
開店前に着いたので店の前で少し待っていると、従業員の方が暖簾を出しに出てきながら、「お寒い中お待たせいたしました、さあどうぞお入りください。」と声をかけてくれた。ちょっとした一言だが、その心遣いが嬉しかった。
店は普通の住宅を改造したものなので、かなり狭く、客席は奥の間に楕円の大テーブル(12席)がひとつあるだけ。店内のインテリアがちょっと民芸調すぎる感があるが、私の後、すぐ二組客が来たので、なかなか人気の店のようだ。
今日の玄蕎麦は茨城県常陸産の秋蕎麦で、私は祝・土・日限定の十割り蕎麦、相方は二八のかけそばを注文した。玄関脇の張り紙に書いてあった、季節限定の「春野菜の天ぷら（のびる・菜の花・本しめじ・方願寺唐辛子・香草・椎茸・ふきのとう・からし草）」も気になったので注文。麺は細く切り揃えられ、角も綺麗に裁っていた。十割り蕎麦に在りがちなイガラッポさも無く、漬け汁も枕崎の鰹、道南の真昆布を使い、キレのある辛目のモノに仕上がっていて美味しかった。さすがに関西の「あまから手帖」に紹介されるだけの事はある。
一昔前は、奈良の蕎麦屋といえば「玄」だったが、美味しい店が増え、着実に蕎麦文化が根付いている事は嬉しい。