旧東海道で、夏の夜には蛍も飛び交う峠の集落宇津ノ谷。その街道の奥まった所に建つ蕎麦屋さん。 店内に入ると、4人掛けのテーブル席が5つ、6人掛けの掘り炬燵式のテーブル席が1つ置かれている。太い梁を組んだ天井から下がる和風の照明が落ち着いた雰囲気を演出している。大きな窓ガラスからは、眼下の川が眺められ、一種の癒しの空間を織りなしている。ここのご主人は会津坂下町の契約農家から仕入れた玄蕎麦を使い、手打ちの十割そばに仕上ている。だが製粉については敢えて製粉所に委託しているとの事。いぶかしがる私に、ご主人は「管理の悪い自家製粉より、管理のしっかりした製粉所の方がいい」と言われた。出て来たそばをいただいて、確かにこう言い切るだけの事はある。細切りの麺は腰もあり、喉越しもツルツルっといった感じで中々のもので、少し甘めの漬け汁との相性も良く流石だと感心してしまう。接客を担当される方の動きもテキパキとしており、とても感じが良く、次回は蛍の飛び交うシーズンの夜に訪ねてみたいと思わせるお奨めの一軒。