この古伊万里の六寸皿は、骨董に興味を持ち出した頃に購入した物で、当時はその物自体の価値を知らなくて手が出なかった古伊万里だが、磁貫が入っている為に安く分けて貰った。友人夫婦と骨董ツアーと称して近江、京都へ1泊2日の旅に一緒に出かける予定だったが、運悪く?その友人は転勤が決まり旅行処では無くなり、私達夫婦だけで行った。その時に覗いた骨董屋で思わず一目ぼれした。はじめに完品を見せてもらい値段を聞いたらとても買う勇気がなく、お店のご主人も骨董の素人だと判って、「普段使いの為に買うならこっちの磁貫入りで充分だよ。」と出してくれたのがこの皿だ。それでもその当時の自分達には清水の舞台から飛び降りる位の値段だった。
この頃は、『別冊太陽・日本骨董紀行』を愛読書にしていて、休みのたびに本に載っている骨董屋を巡っていた。(北は山形の酒田から、西は京都辺りと)骨董屋の店主は、知ったかぶりをすると何も教えてくれないが、何もわからない人には色々親切に教えてくれる。物の見方、買い方、思えばこの頃が一番、色々な店で多くの事を教わった気がする。この皿は墨弾き技法を使ってあり、図柄は目出度い物で、法螺貝や亀甲図等色々な物が描かれているが、その割にはすっきりまとまっていて、江戸時代の絵付師のセンスの良さがうかがえる。2枚買ったので今でも食卓で大活躍、時代的には下がり少々重いのだが日常使いにはもってこいの皿で、盛期の古伊万里の様な扱い難さが無くていい。