この古伊万里は延宝様式の中でも古い手の造りの長皿です。裏の銘は斎藤菊太郎氏(注1)が便宜上「合字示偏変形福字」と呼んだ祥瑞の銘に関連があるものと思われます。(長吉谷窯のもので柿右衛門窯には無いタイプの銘)見込みの両側に余白を活かし躍動感溢れる鹿の姿をバランスよく書き込み、秋の到来を喜ぶさまがすっきりと纏まっていて私好みの図柄。これも古伊万里コレクター、名古屋のS氏の所から嫁入りしてきた一品です。(注1)斎藤菊太郎『陶磁大系44 古染付・祥瑞』平凡社・1972年の111貢