この銭箱は我家に来てから、ほぼ十年になる筈。 確か岡崎の住宅街の一角で、門の処に古民芸の小さな看板がなければ誰も気にも留めない様な骨董屋さんで買った。 木の厚みも充分あり中身が入ってなくても結構な重さがある。 飾りの役目も兼ねている太鼓鋲の大きさも、なかなか大きくていい味を出している。 今は鍵が付いているが、最初は鍵が無い状態で購入し、後から大きさの合う物を探して取り付けた。 この銭箱は少々変わっていて、鍵を外し上蓋を取り、後ろ側の蓋を前にずらすと、後ろの板を上に引っ張り上げる事が出来、中には引き出しが隠されている。 底板がいわゆる上げ底で二重になっており、銭箱の中の隠し金庫の様な物になっている。 引き出しの中には、古い和紙に達筆で何やら書かれた証文が入っていた。 ここに隠す位だから余程大事な事が書かれているのだろうが、私にはサッパリ読めない。 これを処分した家の方も知らなかったのだろう。 今では家に帰って来ると毎日、100円以下の小銭を放り込んでおり、一年も経つと結構な金額になる。 毎度の事ながら、開ける時が楽しみになっている。
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