織部の美しさを理解できる様になったのはごく最近の事です。織部といえば、言わずと知れた戦国武将の古田織部が生み出した焼物で、お茶席などには切っても切れないゆかりの深いものです。今年は、岐阜県が主体となってニューヨークで織部展が催されるなど話題がいっぱいです。 この灰皿は、骨董屋さんの間では有名な、蕎麦猪口コレクターの方から譲り受けた物で、以前蒐集されていた物の様です。こういった土物を蒐集するのは難しく、古伊万里などと違って目が利かないとできません。勉強不足の私などにはとても無理です。 その方はある事をキッカケに、土物中心の蒐集から、全精力を蕎麦猪口コレクションの形成に懸けました。 継続は力なりとは良く言ったもので、今年の6月には多治見市の岐阜県陶磁資料館で展示会が開催される事になっています。 私はお茶を嗜む趣味もないので、こういった渋好みとは縁がなく、以前は染付けのスッキリした物だけに目がいきました。 ところが、最近は少しずつ好みが変わり、渋い物にも惹かれる様になりました。歳をとったということでしょうか? いえいえ、人間に深みが増したと思う事にいたしましょう。
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