今年は遠州方面に出掛ける機会がままありまして、あるカフェに出掛けた折に変ったモノを見つけました。カウンターに置かれた長皿の中に、グミの様な木の実が沢山入っていました。 これ、何だか判りますかと店主のお母さんから問われたので、正直に「グミ」の実か何かですかと答えたら「やぞうこぞう」って云うんですよとの事。「やぞうこぞう?」聞いた事が無いな〜と云うと、多分、この辺りの方言だと思いますが、本当のところ、私も何で「やぞうこぞう」って云うのかは知らないとの事でした。
気になったので帰ってからネットで調べてみたら、諸説ありましたが、大まかな事は分かりました。 この瓢箪みたいな不思議な形をした実の食べられる赤い部分、やぞうは果肉(子房)で、緑色の部分こぞうが種子(胚珠)です。 遠州地方は昔から防風の為の囲いとして屋敷の生垣にイヌマキが使われる事が多いようです。槙囲いの生垣は珍しいと思ったら、遠州地方独特のものらしく「槙囲い」というワードでネット検索をすると掛川から磐田、森町、福田町などという地名が多く出てきます。何故、槙の木なのかと云うと、槙の木は塩害にも強く生垣にも適していた為、昔から植えられていたと考えられます。 遠州地方で冬に吹く北西風(いわゆるからっ風)を昔は「弥三郎の風」と呼んでいたようです。その風は伊吹山から吹いて来るのですが、伊吹山の山神さんが弥三郎と云います。 元々、濃尾・三河地方では北西風の事を弥三郎の風と云い、遠州地方にも同じ様に伝わり、そこから北西風を防ぐ槙の生垣になる実を弥三郎が訛ってやぞう その上に乗っている実をこぞうと云う様になったようです。 遠州地方では「やぞうこぞう」と呼んでいますが、大井川を境に東では「さるこぞう」や「ランカンこぞう」と呼ぶ所もあるようです。 まだまだ知らない事だらけで勉強になりました。 2017.10現在
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