キッチンは主婦が一番興味を持つ場所です。 我家のキッチンは、最近のおしゃれなマンションの様に対面式の明るいものではありません。家の中で一番暗い窓のない部屋にあります。 住み始めた頃は、この間取りが大きらいでした。持っていた食器棚も昔のデザインの大きなものだったので、どこに置いても暗い部屋をより圧迫してしまい、あちこち転々としていました。昨今よく話題になっている大地震の時も食器棚は凶器となると言われています。リフォーム番組も好きで良く見ていましたが、番組の中でもやはり大きな食器棚は困りもので、結局、明るい色に塗り替えたり、切って小さくしていまし た。 |
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しかし、中途半端な事をするくらいなら、リサイクルショップに売って、欲しい人に使ってもらった方がいいと思い、手放す事に決めました。一旦決めたものの、この食器棚は義父が買ってくれた大切な物。それなのに自分が非情な事をするような気がして、なかなかリサイクルショップに電話ができませんでした。 ようやく数日たって、思い切ってリサイクルショップの人に来てもらうと、あまりうれしくなさそうに「古いタイプの食器棚ですね。2000円ならなんとか引き取れますが・・・。」と言われました。 もう売る事に決めていたので、値段なんかどうでもよかったのですが、それでもちょっと悲しくなりました。 食器棚がなくなると場所が空いたので、板を組んで『横好き』の本棚にしました。骨董の本に蕎麦の本、本は増える一方なのでどんなに場所があっても困りません。 食器棚の中の物は以前 『古民芸はた』で買った古い棚に入れました。家に来た時はボロボロでしたが、掃除をしてえの油を塗って、中の棚に藍の布を敷いて使っています。 こうやって見捨てられていた物が、手を入れることによって自分だけの物になっていくのは、古い物にとっても自分自身にとっても幸せです。 我家の食器棚も誰かいい人に出会ってくれていたらいいのにと思います。 |
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