この平等院 鳳凰堂は平安時代に建てられた唯一現存する建造物で、その頃最高峰と言われた仏師定朝によって作成された阿弥陀如来坐像が安置されていて、世界遺産にも登録されています。本来は阿弥陀堂というのですが、一対の鳳凰が屋根の上にいるので鳳凰堂と呼ばれるようになったそうです。説明を聞くまで、今屋根に乗っているのが初代の鳳凰かと思っていたら、これは2代目で初代は鳳翔館に展示されていました。拝観料とは別に拝観志納金300円を収めれば、朝9:30から20分毎に50人ずつ中へ入れてもらうことができ、説明も聞くことができます。 残念ながら、現在、平成の大修理中で、鳳凰堂の中では修復が終了し仮安置された国宝本尊阿弥陀如来坐像と、鳳翔館に展示されている26体以外の木造雲中供養菩薩像しか拝観する事ができず、本来の姿ではありませんでしたが、それでもこの中の全ての物が金色や原色に輝いていたのかと思うと、なかなか感動モノでした。 よく目を凝らして見ると柱の上の方にかすかに色の残った絵が見えます。これが上から下までびっしりと描かれてあったそうです。阿弥陀如来坐像の下の土台は今は汚い色をしていて想像も付きませんが、全て螺鈿細工が施してあったそう。どう見てもただの黒い木造にしか見えない木造雲中供養菩薩像たちも、当時は極彩色に輝いていました。鳳翔館に見本が一体ありますが、白い肌は貝殻、赤は弁柄、黒は墨・・等で塗られ、こんな綺麗な色をした木造が壁一面で踊っていたら、そこはまさしく極楽以外の何ものでもなかっであろうと思います。そして、上を見上げれば、鏡がいくつか。このお堂の中に蝋燭を灯せば、この鏡に反射して、それはそれは美しい様だったそうです。極楽へ行きたければ平等院へ行くといいと言われるのも頷けます。 真ん中の阿弥陀如来坐像が安置されている部分の両サイドの翼を広げた様な建物は飾りで、こんな所からも鳳凰堂がいかに贅を凝らしたものであったかが分かりますが、この様な古い建物が長い時代を経ることができたのは、周りに池があったお陰だそうです。この時代を最後に、阿弥陀様を安置する建物はだんだん質素になっていくので、豪華絢爛、贅を極めたこの素晴らしい建造物を残してくれた池に感謝しなければいけません。 余談ですが、一通り拝観を終えた60歳くらいの御夫婦の奥さんが「これで私も極楽に行けるわ。」と言ったら、すかさず御主人が「ポックリ行かな〜あかんな〜。」
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