4月8日に真言宗豊山派の総本山、奈良の「長谷寺」へ行ってきました。長谷寺と言えば牡丹。そう思う方も多いと思いますが、実は桜の美しいお寺としてもかなり有名です。私も横好きもこの季節の長谷寺は初めてでしたが、その美しさと言ったら、なんとも形容しがたい風情でした。生憎の薄曇りの天気と中国大陸からの黄砂で、すっきりとした青空は望めませんでしたが、そのかわり、もやっとした、まさに悠久の奈良といった空気の中で、藤原定家の『年も経ぬ 祈る契りは初瀬山 尾上(おのえ)の鐘の よその夕暮れ』(新古今和歌集)というアナウンスを聞きながら、399段の登廊を登ってきました。



この長谷寺は小初瀬山の中腹にあり、山の斜面のあちこちに大きな桜が点在し、まるで本堂や五重塔が桜の花の中に浮かんでいるように見えます。境内の中にはたくさんの由緒ある建造物が建ち並んでいますが、桜に魅了されてしまい、他のものは何も目に入りませんでした。本堂の舞台からの眺めはまた格別で、私には桜の花びらと一緒に舞い上がって行く天女の姿が見えたような気がしました。
今、朝のNHKのニュースで全国各地の桜の名所を紹介していますが、ちょうど今日10日はこの長谷寺でした。私はこのお寺の風景の美しさを眺めながら、極楽浄土とはこういうものなんだろうなと思ったのですが、今日のニュースの説明で、やはり桜に彩られた極楽浄土を表現していると言っていました。そして、何十年後、何百年後の為に、今から庭の手入れをしているというようなことも言っていました。美しさというものは何でも一夜にして出来上がるものではない様です。
昨年は吉野山の桜を見て、そのあまりの美しさに今年も何とかもう一度見てみたいものだと思ったのですが、さすがに3時起きの4時出発は辛いので、今年は長谷寺の桜にしました。吉野山に劣らないこの美しさを、私のHPの画像ではお伝えすることはできませんが、どんないいカメラをもってしても、この空気ごと捉える事はできないような気がします。
今週いっぱいが見頃だそうですので、今年はどこの桜を見ようかと迷っている方、是非ともご自分の目で堪能して下さい。

文 縦好き 06・04・08現在


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