法事の精進落としで久し振りに「わかや」へ行きました。店を全面改装した事は知っていましたが、店名まで『田楽座 わかや』に変わっていたとは知りませんでした。
ここは伊賀といえば「わかや」という程の1829年創業の歴史ある田楽の店です。この店の田楽は、国産大豆を使い自家製造した豆腐に、これまた自家製造の味噌を使い、炭火で焼き上げているので香ばしく独特の風味があります。それでも、この伊賀という街は歴史も美味しいものもあるにも係わらず、観光客の集客が旨くいかず、この店も以前はそれ程の賑わいはなかったように思います。まだ店を直す前は古くてほんとに小さくて、地元の人が法事で使うか、旅行のガイド本で知った少数の観光客が訪れる位のものだったと思います。ところが久々に行ってみてびっくり。店は増床され、天井には梁が組まれ、古民家風の内装になっていました。私たちは予約客なので2階の座敷に通されましたが、１階では順番を待っている若いお客さんもいました。
店の名刺を見ると、当主が代替わりしていて、私と同世代の息子さんになっていました。今の時代、歴史を売り物にするだけでは商売は成り立ちません。伝統と新しいものをうまくコラボ(温故知新)しないことには次の世代のお客がついてきてくれません。そう言う意味で、現当主は中々努力家で商売上手と言えるんじゃないかと思います。
最近、ネットや雑誌を賑わせている滋賀・三重・奈良の店が結構あります。京都の近くにありながらも、華やかさや伝統では絶対的に負けてしまうので、忍者の様に陰に隠れてひっそりと営業していたのが、今や若い世代がプライドを持って頑張っています。やっぱり地元が頑張っているってのは嬉しいものです。