2006年9月1日〜
12月17日

MIHO MUSEUMを訪れるのは今回で3回目。設計のテーマが桃源郷というだけあって、何回来ても、その現実離れした姿に感動します。駐車場近くのレセプション棟から美術館へはトンネルを通って行きます。その辺の道路だったら、まず間違いなく通行料金を取られるであろう立派なトンネルです。季節のいい時なら歩いてちょうどいい距離ですが、天気の悪い時や足の丈夫でない人が困らない様に電気自動車も走らせています。前回来た時これに乗ったら、あまりにも快適だったのでやみつきになってしまい、今回も乗ってしまいました。たぶん初めて訪れる人はこの至れり尽せりぶりや、雄大さに度肝を抜かれるんではないでしょうか?
ここは信楽の山奥。バスも1時間に1本くらいしかなく、車でないと来るのが大変な場所です。バスを待ってられない人はタクシーを使うことが多いようですが、この立地条件のお陰と言っては何ですが、どんなに話題性のある展示の時でも、人が少なく静かに観賞できます。
驚きは美術館に着いてからも続きます。風景写真は美術館から見たものですが、山の向こうに見える建物もこの団体の物です。ここは宗教団体の所有する美術館なので、仏教美術に関係した展示物が多いように思いますが、展示方法もゆったりしていて、そこにいるだけで、何となく優雅な気分にさせてくれます。


さて、今回の「青山二郎の眼」がどうだったかと言うと、すがに稀代の目利きと謳われた青山二郎だけのことはあり、やはり凄いです。モノに対峙する時の姿勢というか、心の持ち様というか、何の偏見も持たずに、そのモノの持つ本質的な美しさを鋭く見抜く力。二十代にして大物コレクターや日本橋の一流古美術店からも一目置かれたのも頷けます。これだけのモノが彼の眼によって世間に見出され、日の目を浴びたのも偶然ではなく、必然だったのではないでしょうか。
今回、青山二郎の眼を通して選ばれた幾多の名品を一同に見る機会を得た事は貴重な体験でした。美術館にいる間は目利きになったような気分に浸れたのもイイ思い出になりました。(笑)
手に入れたモノはとことん愛し、消化しきると惜しげもなく手放したという青山二郎。最後は殆ど何も持っていなかったというから驚きですが、そんな潔いところも憧れます。
「そばの横好きの眼」が逆立ちしても、到底、到達出来ないであろう領域ですが、モノを見るとき、誰かがいいと言ったものを鵜呑みにするのでなく、誰も良いと言わずとも、自分自身の眼でモノを評価できる人間でありたいと強く思いました。

*展示場以外では写真撮影OKです。

2006.10.28現在


もう1つ、絶対外せないのがお目当てのロールケーキ。今日はパイナップル入りで、オーガニックに拘っているだけあって、お味はかなり甘さ控えめでモチっとした食感でした。
レセプション棟と美術館の両方にカフェがあるようだったので、レセプション棟に着くなりロールケーキがどちらにあるのか聞くと、「両方にありますが、美術館のカフェにロールケーキが残っているか確認して差し上げます。」と電話をいれてくれました。ロールケーキの味より、たった一組のお客のロールケーキを確認してくれる、その丁寧な応対ぶりに感動を覚えましたが、このMIHO MUSEUMの居心地の良さは、豪華さや雄大さだけでなく、働いている人たちの力に寄るところが大きいのではないかと思いました。
閉館時間ぎりぎりに帰ったのですが、電気自動車に乗る時運転手の女性が「美術館に灯りが灯るのは中々見られないんですよ。」と教えてくれました。夏の閉館時間はまだ陽が高いし、早めに帰ってしまえば見るチャンスもありません。早速、カメラのシャッターを押しましたが、そんなちょっとした事を教えてくれるってのは嬉しい心遣いです。


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