京都 相国寺承天閣美術館で開催された若冲展。会期はたったの22日間。名神集中工事も何のそので行って来ました。
今回の展示物の目玉は、何と言っても宮内庁(三の丸尚蔵館)から120年ぶりに里帰りした30幅の動植綵絵。
今回再会を果たしたこの30幅の動植綵絵と釈迦三尊像は元々若冲が自分自身と亡き家族の永代供養を願って相国時に寄進したものです。そのうちの動植綵絵30幅だけ明治22年に皇室に献納することで1万円の下賜金を賜り、そのお陰で相国時は廃仏毀釈の難から免れたそうです。若冲は相国寺の恩人というわけです。
若冲は当時から人気者だったそうですが、それは今も昔も変わりありません。大抵の若冲展は大賑わいです。特に今回の様に33幅が揃う事はもう滅多にないであろうから、多くの方が詰め掛けていました。
私が相国寺に到着したのが1日の午後3時半。その時60分待ちと言われ、流石にゆっくり見るには時間が足りないと帰りかけたところで係の方が「今日は午前9時には300人が並んだので、開館を1時間繰り上げました。」と朝の状況を教えてくれました。一番早い人は6時から待っていたそうです。
この情報をたよりに、若冲観賞を翌日に変更することに決め、図録だけ買ってそそくさと引き上げました。



さて、次の2日。今日も開館時間は間違いなく繰り上がるだろうと予測して、相国寺には8時過ぎに到着しました。それでもすでに200人位の人が並んでいたでしょうか。私たちの後ろにもどんどん人が増え、あっと言う間に長い行列になりました。そして思った通り開館は早まり、8時45分頃からチケット販売を始めました。
大して待つことなく入場する事ができた若冲展。ウキウキしながら長い長い入口までの道を歩きました。
今回、動植綵絵と釈迦三尊像の他にも鹿苑寺(金閣寺)の大書院に描かれた重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画」50面全てが展示され、これも見応え充分でした。でも、やはり圧巻は動植綵絵。何と言っても分り易くて綺麗です。色が妙にはっきりしていると思ったら修復されているそうですが、点の一つ、線の一本まで丁寧に描かれ、構図のバランスも絶妙で迫力も凄い。
33幅が一部屋にピッタリと収まって展示されていたので不思議だなと思ったら、この承天閣美術館を設計する段階で釈迦三尊像を中心に両サイドに15幅ずつの動植綵絵を展示する構想があったと図録に書かれていました。
以前訪れた恵那の中山道広重美術館の学芸員の方が、美術館では難しい事を考えずに、記念写真を撮るならどの絵と一緒がいいかなんて感じで見ると楽しいと教えてくれましたが、今回私が選んだのは「群鶏図」です。
帰りがけに境内では新たな行列用のテントを設置していました。こんな所まで列ができるのかと思うとなんだかぞっとしましたが、その時すでに60分待ちでした。その後2時頃、近くの道を通ると3時間待ちとの表示。これにはびっくりしました。

2007.6.2


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