土楽窯

伊賀の有名な窯元『土楽窯』。
料理好きの方なら高級女性誌や情報誌などで、一度は目にされたことがあるのではないでしょうか。
 
当主福森雅武氏は故白洲正子さんとも親交があり、古美術にも造詣が深く、氏の手から造り出される器の数々は、かの民芸の父「柳宗悦」が言う所の用の美を兼ね備えています。
伊賀には多くの窯元がありますが、確かに他とは一線を画している気がします。


今回伊賀の実家に帰った折に、懇意にしている閑日堂さんを訪ね、綺麗に作り込まれた庭でコーヒーブレイクをしている時、土楽窯の事が話題にのぼりました。たまたま今、自宅兼工房を公開して作品の販売をしているという事でした。
今まで土楽窯の焼物は都会のデパートやギャラリーなどでしか販売されておらず、自宅も雑誌などではよく紹介されていますが、実際に見るのは初めて。早速行ってみることにしました。


土楽窯は大きな敷地に古い日本家屋が何棟か建っている所でした。
自宅の広間では、当主の福森氏の作品が数多く並べられての即売会。中庭では工房の生産品を販売しており、気軽に手に取って選ぶことができるようになっていました。
 
すぐ目に飛び込んできたのは土色の大きな土鍋。これは、土楽と言えば『文福鍋』と言われる程有名な鍋。この独特な形は、40年近く前に土鍋の機能をよく吟味し生み出された物で、そこに置いてあるだけでも思わず嬉しくなってしまいそうなフォルムです。蓋を持ち上げてみると、手にずっしりとした重みがあります。
工房の中も見る事が出来たので、目を皿の様にして見学させて貰いました。
 
今回は土鍋の使い方を工房の人に聞き、サイズだけ確認しました。注文は冬に向かって生産が最盛期に入る8月頃考える事に。

文福鍋 黒蓋付き鍋

汲み出し碗
皮鯨汲み出し碗

私はすでに福森氏の汲み出し碗を手に入れていて、コーヒー専用の器にしていますが、縦好きは普通のマグカップを使っています。最近になって私の影響なのか福森氏の器でコーヒーが飲みたいと言っていたので、彼女にとってはグッドタイミングの『土楽窯展』だったようです。福森氏の作品を前にあれこれ手に取りその場から離れません。
 
私の持っている汲み出し碗は福森氏の作品の中でも人気の高い物ですが、これを手に入れる為3年待ちという人もいると聞いたことがあります。
結局、悩んだ末、私と同じ物ではつまらないと『皮鯨汲み出し碗』を気に入って購入しましたが、当HPでもお馴染みの晒柿さんが、我家に 『InteriorWatching』の取材でみえた時に、福森氏のファンだと伺っていたので、了解もとらずに1つ晒柿さん用に私と同じ汲み出し碗を購入。
帰ってから晒柿さんに連絡した所、ぜひ欲しいとのことだったので、買って来て正解でした。
 
使っていく内に萩の七化けではありませんが、器の地の色が変化してくるので、それはそれでまた景色として楽しめます。
眼福至極!


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