岡崎中央総合公園内にある岡崎市美術博物館 〜マインドスケープ・ミュージアム〜
今回、『興福寺国宝展 〜鎌倉復興期のみほとけ〜』を学芸員の方の解説を聴きながら観てきました。
興福寺は奈良にある法相宗の大本山で710年に創建されました。丁度創建1300年にあたる2010年に向けて中金堂(1717に焼失後、1819仮堂再建)の復元を始めとする整備事業に取り組み、その一環として興福寺国宝展が全国5ヶ所で開催されているとのことです。
この寺は平安時代末期の戦乱の犠牲となり、何度となく罹災復興を繰り返してきました。なかでも、1180年の南都焼き討ちでは堂宇の殆んどが焼失するという甚大な被害にあったようです。しかし、興福寺は藤原氏の氏寺である為すぐに復興が始まります。その復興の中で、造像を担当したのが、鎌倉期を代表する康慶、定慶、運慶など「慶派」と呼ばれる仏師たちです。
鎌倉期の仏教彫刻は奈良期のものと違い、彫りが深く、人物等の表現においては肩などが肉厚でがっしりしています。しかし、彫像を復元するにあたっては、奈良期の優美な表現を受け継ぎつつ鎌倉期の力強さを融合し、見事な形で仏像が再現されています。仏像の纏っている衣装の波打つ様なひだは、風が吹けば本当にひらひらと舞いそうです。そして、近くでよく見ると歳月を経て色褪せたとはいえ、模様までもがかなりはっきりと見え、創建当初は絢爛たるものだった事が想像できます。
一歩展示室に踏み入ると、「無著菩薩立像」「世親菩薩立像」(運慶作・国宝)の二体の彫像に出迎えられ、その迫力に圧倒される事でしょう。私は「世親菩薩立像」の水晶玉でできた眼球がライトを受けて光った時、何百年もの間、その眼が何を見てきたのか問いかけずにいられませんでした。
お寺の薄暗がりの中で観るのもいいですが、彫像の後ろ側や細部に渡って観察する事ができるので興味のある方はぜひどうぞ。
文:縦好き

『興福寺国宝展 〜鎌倉復興期のみほとけ〜』 平成17年2月11日(金)〜3月27日(日)
岡崎市美術博物館 〜マインドスケープ・ミュージアム〜
愛知県岡崎市高隆寺町峠1
0564-28-5000

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