愛知県奥三河、設楽町田峯地区を流れる寒狭川、夢ケ渕渓谷に毎年10月から翌年の3月頃まで鴛鴦が集団越冬する場所がある。この場所を知ったのはもう7年位前になるが、中日新聞のトップページの紹介記事を読んだのがキッカケだったと記憶している。初めて見る鴛鴦の美しさに驚き、この眼で確かめてみたくて尋ねたのが最初だった。 この鴛鴦の里は愛護会の方々によって守られていて、実際に鴛鴦を見るのは小屋を覆っているビニールシートの穴からだ。鴛鴦はとても神経質なので、静かにそっと覗いてあげないといけない。初めて行った時は朝晩2回の餌撒きが行われていて、私たちが訪ねた夕方は、丁度餌撒きの後で、鴛鴦が一生懸命餌を啄ばんでいる姿がいじらしかった。最初の頃の飛来数は10羽足らずだったが、現在では400羽以上になっているそうで、これも設楽地方のおしどり愛護会の皆さんが保護管理に努力した賜物だと思う。 先日、久し振りに鴛鴦が見てみたくなり、出掛けた帰りの夕方ちょっと寄ってみると、今は餌を一日一回午後1時から2時の間に与えているという。結局真鴨ばかりで鴛鴦は数羽しか見ることができず、昨日改めて2時過ぎ頃に訪れてみると、丁度鳥たちが続々と餌を食べに水から上がり始めたところだった。 鴛鴦は鷹など大型の鳥に狙われることも多いので、ちょっとした音にも敏感で、餌を食べている最中も2度ほど一斉に水面に戻った。その時のゴォ〜っという羽音の凄さはこちらの方がびっくりする位だったが、本当に危険を感じた時は、水面でなく一斉に空に舞い上がって、しばらくは戻って来ないそうだ。観察していると、外見の美しさとは裏腹に水面をものすごいスピードで進んで行くが、これもこの鳥の警戒心の強さの表れだろう。 あまり知られていない事だが、一般的な認識として定着している「おしどり夫婦」の由来となったであろう鴛鴦は、本来1年毎にパートナーを変える習性を持ち、又ペアリングの結果生まれてきた雛鳥の世話もしない事が最近判ってきたらしい。人から、おしどり夫婦だと言われたらちょっと複雑ですね。 * 鴛鴦の里は下記の場所にあります。観察には駐車場代として300円必要ですが、これは鴛鴦の餌代になります。観察小屋は寒いので、見に行かれる方は是非温かくして行って下さい。
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