小野宿 小野宿問屋

中山道塩尻宿から伊那街道へ入る一番目の宿場「小野宿」。今でも当時の面影を残す建物が両脇に残されている。なかでも一番の目玉は小野宿問屋と言われた旧小野家住宅。1859年の大火事の後に建てられた本棟造りの宿駅民家で、間口が約14軒もあり宿場町の中心的な存在になっている。ただ惜しむらくは、本来の持ち主である小野家でも世代交代が進み、相続しても建物を維持する事が出来ず、町に寄贈したが、公に公開されておらず外観しか見る事が出来ない。

ここ小野で有名なものがもう一つある。「小野のしだれ栗」だ。
「小野のしだれ栗」はしだれ栗森林公園の中にあり、大小約800本が自生していて国の天然記念物に指定されている。その姿はなんとも奇怪で恐怖心さえ覚える。本来、ブナ科の栗は全国の至る所に分布しているが、しだれ栗は変種で長野県、岐阜県の一部にしか見られない。
塩尻市の相吉の溜池に面した南側斜面にも約100本が自生していて、市の記念物に指定されている。ここは、看板がなければ通り過ぎてしまいそうな場所だ。
驚いたのはしだれ栗のまわりの木がほとんど赤松だという事。相当の松茸の産地だろう。
この「しだれ栗」、この地方の昔の言い伝えで、栗を取る子供達の為に天狗が枝を垂らしたという事らしいが、私には松茸泥棒を捕まえる為に枝を垂らした様に思える。
しだれ栗を見た後は、辰野のほたるの舞を見に行く。

相吉のしだれ栗

ほたるの語源は、「炎垂」とも「星垂」とも言われる。たった10日で命が尽きる成虫が恋の炎を燃やすのは、梅雨時のむし暑い夜。
飛翔のピークは夜の8時頃とのこと。丁度、辰野駅の前では、町を挙げての「ほたる祭り」が開催されており、町内の方が売っていた手作りのおにぎり食べて、6時頃「ほたる童謡公園」に行った。数千匹のほたるが舞うということだったので、どんな山の中かと思ったら、辰野の駅前から15分くらいの所で綺麗に整備された公園だった。
この日は生憎の低温で、ちゃんと冬物を着込んで来ている人もいたけれど、私は半袖のポロシャツ。体をこすったり、縦好きと押しくら饅頭をして時間を潰したが、寒くてほたるを待つのが辛かった。
それでもほたるが幻想的に光り始め、フワッ、フワッと舞う姿を見た時には一瞬だが寒さを忘れた。
ほたるの数が多い時はこんなものではないらしいが、「これくらいの方がきれいでいいかも」などと、負け惜しみを言いながら帰ってきた。
私は子供の頃、ほたるを良く見たが、縦好きは初めてだったようで、「街路灯に集まる蛾も何もかもがほたるに見える」とすっかりほたるの舞に魅了されたようだ。

小野のしだれ栗

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