以前、よく食べに行っていた岐阜の「吉照庵」を任されていた沼田さんが独立し、2003年12月25日にオープンしたお店。
たまたまネットで見つけ、今度京都に行く時には絶対行こうと計画をしていた店だが、私のサイトに「是非行ってみて下さい」とメールを送って下さった方もあるほど。
西陣にある町屋を再生し、店内に一歩足を踏み入れると、そこにはジャズの音色が静かに流れる和風モダンな癒しの空間が待ち受けている。
『にこら』という店名はご夫婦の好きなロシア出身のフランス人画家nicolas de staelからつけられたそうで、何点か絵が掛けられていて、ダークブラウンの店内に鮮やかさを添えていた。
蕎麦に関しては、十割で打っているにもかかわらず極細に切りそろえられており、技術の高さが感じられる。笊の形が珍しい杯型をしていて蕎麦の美しさを一層引き立てていた。
つけ汁は鰹の風味がよく効き、キリっとした辛味の中にほんのりと甘味が感じられ私好みのものだった。奥さんがわざわざ見せて下さったおろしそばに使われている直径4ｃｍ程の丸くて小さな辛味大根は、京野菜の一つで高ヶ峰の大根だそうだ。
良いお酒も何種類か用意されており、コースで頂ける旬菜セレクトやおまかせコースもあり、時間を忘れて楽しみたい空間だ。

ざるそば900円　おろしそば（辛味大根）1100円　ぜんざい(温)400円

今回は久し振りの京都泊だったので、美味しいお酒と酒の肴を楽しみつつ、最後の〆にノド越しスッキリの蕎麦をいただくつもりで夜の予約を入れたのだか、諸事情により急遽ホテルから車で行くことになってしまったので、お酒はオアズケ。
先ずは予約をしておいた旬菜セレクトをいただく。京鴨ロース煮・秋刀魚の鞍馬煮・柿としめじの白和えと、どれをいただいても素材の持つ旨みを引き出すひと仕事がなされていて美味しかった。次にざるそばと追加のおろしそばを食したが、極細の麺と漬け汁のバランスがいつにも増して絶妙。そばに厳しいこの時期だが、美味しさが膨らむ。
ご夫婦のテキパキとした息の合った仕事振りに、何度でも訪ねてみたくなるお勧めの一軒。