以前は奈川渡ダムに近い場所に在った「オーベルジュ・グリンデル」。 美味しい蕎麦とフレンチが頂けるとの噂は耳にしていました。 2013年道路変更に際し一旦お店を閉店、その後2014年6月末に松本から上高地に向かう国道158号線を、30分程走った道沿いの右手側、「道の駅・風穴の里」の道路向かいに場所を移転し『そば&カフェ ぐりんでる』として再開されました。 昔、パン屋だった建物を店舗として使っている為に、どう見ても蕎麦屋とは思えない外観から、開店当初は「このお店の蕎麦?」と見ただけで、二の足を踏んで帰られる人もいたそうです。 しかし、ルーツを手繰れば、ふむふむと納得がいくでしょう。 店主の木口さんは、岐阜県、下呂温泉にある全国にも名の知れた名店・仲佐の店主、中林氏の一番弟子なんです。ですから、蕎麦を打つ技術に関しては、折り紙付きです。そこにもって来て材料となる玄そばは、店主自らが店の近くで栽培されている在来種と、近郊の手刈り天日干しの蕎麦です。 基本は8:2の所謂、二八蕎麦ですが、時には蕎麦粉8割5分で打つようです。 ですから、粉の状態によって繋ぎは1割5分から2割と云う事です。
お願いしたのは、ざるそば(900円)、手挽きの粗挽き蕎麦がきの黒・玄そばの挽きぐるみ(850円)、和風オムレツ・放し飼い有精卵3個使用(800円)、季節の野菜盛り合わせ天ぷら(700円)、とノンアルコールです。 注文する時に「和風オムレツ」って、だし巻き卵ですよね!って確認をしたら、花番さんが「そうですよ!」と微笑みながら応えたので、どんな感じかと期待しました。見た目はそのまんま、オムレツの形でスプーンで取り分ける格好で、上に添えられた辛み大根が、いいアクセントになっていて予想を裏切る美味しさでした。 その時「すみません、今日は玄そばの挽きぐるみの粉が用意してなくて剥き実の挽きぐるみの白しか出来ないと店主から云われました。」との事で、黒から白に変更しました。供されたそばがきは、見た感じツブツブというよりもう少し繊細な感じの粗挽き。上に蕎麦の双葉が添えられていました。箸で取り分けて口に入れると、ねっとりとした食感で歯応えも充分ありました。そして何よりも濃厚な蕎麦の香りに参りました。 季節の野菜を盛り合わせた天ぷらは、普通盛りなのにこの量で驚きました。色々な種類の山菜もあり衣サクサクで美味しかったです。
最後に頂いたざるそば、透明感に満ちた褐色の肌に期待に心が躍ります。漬け汁は見た目には、たまり醤油かと思わせる位、濃い目の汁です。「お蕎麦に少しつけてどうぞ」の言葉を合図に細切りのそばを手繰りましたが、噛めば噛むほどに香りが立ち上ってきます。 噂にたがわぬ美味しさに感謝しつつ完食です。 お蕎麦をもっと楽しみたい方は1.5倍の400円プラスで注文を。 お店の外観で、蕎麦を食べずに帰った人には申し訳ない位美味しいお店でした。 松本市の街中に在る「野麦」も名店ですが、色々食べたい方にはこちらがお勧めです。
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